かみむら耳鼻咽喉科では、鹿児島市・薩摩川内市を中心に耳鼻咽喉科、アレルギー科の日帰り手術に力を入れております。最寄り駅は、JR『鹿児島中央駅』から直通の『川内駅』です。

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春の花粉症と舌下免疫療法

 桜の開花が始まり、ここ薩摩川内もいよいよ春本番です。ポカポカ陽気に誘われて、外出の機会も増えるのではないでしょうか?この陽気に誘われて外に出ると、くしゃみ・鼻みず・鼻づまり・目のかゆみの症状があらわれている方も多いのではないかと思います。そうです、これこそ春の花粉症の症状なのです。春には、スギとヒノキの花粉が大量に飛びます。この季節、花粉症の方は、要注意です!

春の花粉飛散シーズン

 平均気温が10度くらいになると飛散開始します。ここ鹿児島では、スギ花粉は、梅の開花のころの2月初めから飛散開始し、2月下旬から3月初めに飛散ピークをむかえます。最近は、花粉温度(1月1日からの最高気温を累積した温度)で、花粉飛散開始時期やピーク時期を予測する目安になり、400℃で飛散開始、480℃で本格飛散とされております。今年の400℃は2月8日、480℃は2月17日でした。スギ花粉は3月下旬には減少し、桜の咲く頃になると、今度はヒノキ花粉開始です。3月後半から4月上旬にピークをむかえ、ゴールデンウィークの頃には春の花粉シーズンが終了します。

*私のクリニックの患者さんには、スギ花粉症の方は、バレンタインのチョコを買いに行くときには、必ず耳鼻科にもよってくださいね!といって印象づけております。結構、これでみなさんにスギ花粉の受診時期(2月前半)を覚えてもらっております。

 スギ花粉飛散量は、前年夏の日照時間・気温・降水量に大きく影響を受けるといわれております。毎年、環境省がスギ花粉飛散予測を、12月・1月・2月の3回公表されます。昨年は全国的に大量飛散でしたが、今年は、全国平均は平年並み~1割増し、鹿児島は昨年と同等の飛散量とのことでした。スギ花粉シーズンのピークを過ぎた3月半ば現在では、比較的予報通りだった印象です。桜の季節になり、今度はヒノキ花粉シーズンがやってきます。

花粉症はいまや国民病!?

 スギ花粉症の患者さんは、地域差はありますが、国民の3-4割といわれております。スギ花粉症の有病率は北関東で高く、最高:山梨県44.5%、最低:北海道2.2%。ちなみに我が鹿児島県は12.1%です。近年、都市部でのスギ花粉症の増加が著しく、しばしば社会問題として取り上げられます。花粉症に関連する費用も莫大で、治療にかかる費用は2000年での試算で、年間医療費2860億円、年間労働損失650億円といわれ、当時より患者数が倍増した現在、損失額は5000億円!規模になっても不思議ではないといわれております。花粉症をもつビジネスマンの調査では、9割以上が、花粉症は仕事のパフォーマンス、つまり労働生産性にマイナスの影響を及ぼしている」と答えたそうです。なお、スギ花粉症の7-8割は、ヒノキ花粉症もあるといわれております。現在ヒノキ花粉でない方も、そのうちにヒノキ花粉症が発症する可能性もあり、注意が必要です。

スギ花粉はいつまでつづくの?

 スギは、樹齢20-30年で開花し始め、30年を超えるとたくさんの花粉を発生するようになります。通常スギは、樹齢35年で伐採期を迎えるといわれますが、日本の多くのスギ林は、手つかずのままで、多くの花粉を発生しております。樹齢100歳位までは、花粉を多く発生するといわれ、1950-60年に植えられたスギは、あと40-50年は花粉を大量に発生するということになります。

*スギは風媒花で、風に乗って遠距離を飛散します。スギ花粉の大きさは30μmの楕円形で、その飛行距離は、数十km以上で、ときに300kmも離れた場所から飛んでくる場合もあります。

花粉情報

 天気予報同様、花粉情報を確認することが出来ます。花粉症の予防・治療にはとても大切な情報です。花粉情報は、テレビ・新聞に毎日掲載されております。また、インターネットの花粉情報サイトでは、今の花粉飛散情報を見ることができ、パソコンやスマートホンから簡単にアクセスできます。*以下のサイトがおすすめです。

1. はなこさん http://kafun.taiki.go.jp/

環境省の花粉情報サイトです。鹿児島では、鹿児島市・伊佐市・鹿屋市の3か所のデータが時間ごとに分かります。

2. 花粉プロジェクト http://weathernews.jp/pollen/#//c=0

ウェザーニュースの提供するサポーター参加型の企画です。花粉シーズンの2月から5月にかけて全国1000か所に、花粉自動測定器「ポールンロボ」を設置し、インターネットを介し1分間ごと自動配信され、ほぼライブで花粉情報を知ることができます。鹿児島県でも、ここ薩摩川内を含め、数か所参加されてます。

3. そらまめ君http://soramame.taiki.go.jp/

環境省の大気汚染の情報サイトで、24時間間情報提供しております。今話題のPM2.5の情報もここでわかります。

*今年の鹿児島のスギ花粉飛散の初観測は1月31日で、飛散開始日(2日連続で花粉測定出来た日)は2月3日でした。桜前線のごとく北上します。 

花粉症の治療

  1. まずは花粉対策から

 花粉との接触を避ければ、花粉症の症状は現れません。花粉症シーズンは、出来るだけ花粉との接触を避けるように心がけ、出来る範囲で対策を心がけましょう。花粉飛散が多いときには、外出を控えるのが一番の対策です。これは、実際困難ですので、外出時には、マスク:鼻・口、メガネ・ゴーグル:目、からの花粉の粘膜への接触を減らしましょう。マスクは鼻にいる花粉を6分の1に減、花粉用メガネは目のなかにいる花粉を3分の1に減らすという報告もあり、花粉のセルフケアに有効な手段です。マスクもメガネもいかに隙間を少なくし花粉の侵入を防げるかが大切なポイントです。花粉が付きにくい衣類:化繊の衣類やコート、静電気防止スプレー、帰宅時は、花粉を屋内に入れない工夫を心がけましょう。屋内の花粉の8割が、衣類についた花粉が持ち込まれたものともいわれておりますので、花粉をはらってから家の中にいることがとても大切です。屋外への洗濯物や布団干しも花粉の季節は避けましょう。室内に入る花粉を100%防ぐことは無理ですので、室内に侵入した花粉は素早く除去しましょう。こまめな掃除はもちろん、空気清浄器の利用も効果があります。

 2. 花粉症は敵を知ること?から始めましょう

 「私、花粉症!」と何十年も思い込んでいた方が、きちんと診察したら実際には、花粉症ではない鼻炎であったということも、臨床の現場ではしばしばしばしば経験いたします。花粉症は、花粉がアレルゲン(アレルギーの原因物質)となっておこるアレルギー病ですので、何のアレルゲンか?が分かっておれば、初期療法開始の時期や注意する季節・環境など、天気予報のごとく予想できます。ここでアレルギー検査のお話をします。アレルギーの検査は、アレルギー性か否かの検査と原因抗原を調べる検査(何の花粉か?)があります。医療機関に来院されたら、まず問診、その後の診察で、鼻・目・のどの所見やレントゲン、鼻汁好酸球検査(アレルギー疾患の時に多く出現します)等、アレルギー検査をさらにすべきか担当医が判断します。次に、明らかにアレルギー(花粉症など)が強く疑わる場合、アレルゲンの特定のための検査を行います。1.皮内反応テスト(アレルゲンを皮下注射し、その反応を見る)、2.誘発テスト(粘膜にアレルゲンの試薬をおき、粘膜反応をみる)、3.血液検査血液のアレルゲン抗体を測定し、数値化する)などがあります。大学病院などの教育・研究機関では、通常すべての検査を行いますが、クリニックでは、担当医の判断で検査を行います。私のクリニックでは、血液検査をおすすめしております。これは、特定のアレルゲンがわかり、検査結果を数値化(グラフ化、見える化)して患者さんにお渡しでき、さらに患者さんの大切な医療データとして、ご自身のために今後も役に立つであろうという考えからです。

 3. 医学的な治療法

 臨床の現場では、鼻アレルギー診療ガイドラインに沿った治療が行われます。このガイドラインは、1993年に初版が出版され、医学の進歩により数年に一度の改訂を積み重ねられ、現在は改訂第7版2013年版で、最新のガイドラインです。これに、花粉症のことも詳しく記載されたております。書店で購入することもできます(ライフ・サイエンス社、定価4000円)。

薬物治療:症状を緩和する治療法(対処療法)で、アレルギー体質を改善するのではありません。現在、我々が外来で行っている一番多い治療法です。投与方法は、内服・点鼻・点眼・吸入・ぬり薬があります。一部のお薬は、OTC(over the counter drug:一般用医薬品の略)として薬局で販売され、医師の処方箋なしで購入できます。最近のOTCは、TVや雑誌のコマーシャルでも盛んに流されております。アイドルグループ嵐・大野くんの「アレグラ」、女優 武井 咲さんの「アレジオン10」、スケートの浅田姉妹の「ストナリニZ(ジルテック)」など、以前は処方箋がないと販売できなかったお薬が、OTCとなってお近くの薬局で手に入ります。時間がないときは、仕方がありませんが、耳鼻咽喉科専門医としては、やはり医師の診察を受け、アレルギー性鼻炎(花粉症)の診断を受けた上での治療をお勧めします。

また花粉症に対しては「初期療法」をおすすめします。初期療法とは、花粉飛散開始予測日または少しでも花粉症状が現れた日から投薬を開始する治療法です。また、症状に応じて医師の指導の下、複数の作用機序の異なるお薬を組み合わせることで、花粉のピーク時にも大きな苦痛なく日常生活を送れます。症状出現後または、花粉飛散ピーク時には、かなりの重症・最重症となっており、炎症をおさえるのに苦労します。火事でたとえれば、くすぶっている状態や小さな火事では、バケツリレーで消火できますが、大火事ではどうでしょう?やはり、消防車を呼ばないと消火できないですよね。花粉症治療も火事と同じです。

手術:耳鼻咽喉科では、鼻炎に対する手術をおこなうこともあります。手術の適応は、お薬などの保存的治療で改善がみられず、難治性な方で、おもに鼻閉が改善しない方にたいして行われます。外来で比較的簡易に行われる手術(電気凝固・レーザー蒸散など、鼻粘膜の縮小と変調を目的)、入院が必要な手術(粘膜下下甲介切除術、鼻中隔矯正術、後鼻神経切除術など、鼻閉・鼻漏の改善を目的)があります。一般的にレーザー手術は、外来でよくおこないますが、術後粘膜が安定するまで、2-3週間かかり、花粉のシーズン中は行わず、シーズン前の秋冬がお勧めです。また、鼻粘膜は再生しますので、レーザー手術は、せいぜい1-2シーズンしか効果がありません。手術治療を選択される場合、担当医に手術の長所・短所について説明を受け、納得の上での手術治療を受けてください。

民間療法:花粉症の方の中には、医療機関を受診せず民間療法で症状を抑えようとされる方も少なからずいらっしゃいます。厚労省研究班の報告によると、アレルギー性鼻炎患者さん(季節性花粉症+通年型)の2割は何らかの民間療法を利用していたとの報告があります。お薬を服用するより安全性が高く、副作用も少ないと思われてのことですが、決してそうとも限りません。花粉症のための健康食品でアナフィラキシーショックを起こした事例もあり、やはり注意が必要です。お茶、乳酸菌(ヨーグルト)、アロマテラピー、鼻孔拡張テープ、入浴剤など、様々な民間療法が、花粉シーズンになるとマスコミで紹介されます。厚労省の研究班の報告によると、いずれも医療にかわるレベルの効果を見出すことはできないとのことです。しかしながら、科学的な根拠がなくても、症状が改善することやプラセボ効果は、医療現場でもしばしば経験いたします。無理のない金額で、安全性が保たれているものに限って、上手に付き合うのがよろしいかと思います。医療機関にかかられて、民間療法をされている方は、疑問点があれば、何なりとかかりつけの先生にお尋ねください。

アレルゲン免疫療法 (今年のトピックです!)

 免疫療法は100年以上まえから行われている治療法です。検査で特定されたアレルギーの原因物質(ハウスダスト、ダニ、スギ花粉など)を体に少しずつ投与することで、アレルギー体質の改善を期待する治療法(根治療法)です。体にアレルゲン(花粉など)を与え続けることで、花粉がからだに危険ではないことを自然に認識させ(免疫寛容という)、花粉に対して過度のアレルギー反応を引き起こさないようにする治療法です。だだし、からだに花粉が異物でないと学習させるためには時間がかかります。減感作療法とも呼ばれております。日本では、皮下注射による皮下免疫療法が、大学病院やアレルギー専門外来を中心に、50年ほど前から行われ今でもアレルギーの有効な治療法として行われております。有効率は、ハウスダスト・ダニで8-9割、スギで7割の有効性が認められており、理にかなったアレルギー治療の一つです。治療期間は、低濃度のアレルゲンのエキスを週1回から開始し、徐々に濃度上げ2週に1回から最終的に月1回にして、その濃度をつづけます。効果がでるまでには約3か月かかり、効果を維持するために最低2年、できれば3年以上月1回の注射を続けることが望ましいとされております(鼻アレルギー診療ガイドラインから)。この治療法の短所は、治療期間の長さと副反応です。2-3年この方法を行うとなると、50回以上の通院が必要です。呼吸困難・血圧低下・意識障害などの激しい副反応がでるアナフィラキシーショックが出る可能性があります(1000-2000回に1回程度の気道狭窄、200万回に1回程度のアナフィラキシーショック)。「通院の面倒」「注射の痛み」「副反応のリスク」からクリニックの外来では、あまり普及していないのが現状でした。

 この皮下注射の弱点を解消すべく1990年半ばから医者主導で研究されていたのが舌下(ぜっか)免疫療法です。皮下免疫療法と同じような治療効果が得られ、今年の1月ようやく厚労省が舌下免疫療法に使うお薬「シダトレイン:鳥居薬品」が承認され、4月に公的薬価が決まり、その後発売(6月ごろ?)される予定です。今のところ、12歳以上が治療対象で、全国のクリニックでの舌下免疫療法の保険診療は、それ以降ということになり、3月の現時点では未定です。また医師が出す処方箋薬剤のため、医療機関を受診してからの治療開始となります。数年前から、大学病院での臨床治験が行われ、今回の承認にいたりました。皮下免疫療法との大きな違いは、自宅で出来る治療で、投与経路が経口から舌下に滴下するだけで注射の痛みがなく、ショックなどの重篤な副反応皮下よりも少ないことです。具体的には、「スギエキスの入った液体(シダトレイン)を0.2mlから開始し、はじめ2週間は医師の指示通り1mlまで増量し、3週目からは1mlで維持する方法です。毎日1回舌下に滴下し、2分間保持した後、飲み込む。その後5分間はうがい・飲食を控える。」これを2-3年継続する治療法です。舌下免疫療法についての情報は、鳥居薬品のホームページhttp://www.torii-alg.jp/ にわかりやすく解説されていますので、一度ご覧ください。今後、期待できる治療法の一つですが、長期間にわたる治療で、副反応が全くないわけではなく、さらに即効性のない治療法です。治療開始するときには、担当医と十分ご相談の上、はじめることが望まれます。現場の医者としては、治療の前に、これらの免疫療法の効果がある程度推測できるような検査法が開発され、免疫療法の効果が治療前に予想できれば、さらに理に合った良い治療法として定着できるのにと思います。これは今後の医学の進歩に期待するところです。

(内容の一部は、フレンズFM762http://www.friendsfm.co.jp/「空・とぶ・TAMAGO」11:30~13:30(吉田玲子さん担当)3/25(火)放送・事前録音済で、お話しました。)

*本日(3/21)の近所の公園の景色です。桜はようやく開花がはじまり、7-10日後には満開でしょう。スギ林は、すでに花粉がかなり飛んでしまって、緑が目立ってきましたね。今はヒノキ花粉の季節です。