かみむら耳鼻咽喉科では、鹿児島市・薩摩川内市を中心に耳鼻咽喉科、アレルギー科の日帰り手術に力を入れております。最寄り駅は、JR『鹿児島中央駅』から直通の『川内駅』です。

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風薫る五月。この季節、ご注意を!

  本日(5月6日)はゴールデンウィーク(GW)の最終日。暦の上(二十四節気)では、立夏です。日も長くなり、暑くもなく寒くもなく、湿度が低く風もさわやかです。とても過ごしやすく、レジャーやおでかけに最適の季節です。寒い冬とは違い、インフルエンザなどの感染症や風邪の患者さんは少なくなります。学校健診も終盤をむかえ、健診で病気を指摘されたお子さんや、この春ここ薩摩川内に転居され、初めてかみむら耳鼻咽喉科を受診される方もいらっしゃるようです。わからないことがあれば、ご遠慮されずにお気軽に当院スタッフにお尋ねくださいね。今回は、この時期、注意していただきたい病気についてお知らせいたします。

1.   夏草による花粉症

   GW中に衣替えや大掃除、引っ越し後の片づけをされた方も多いのではないでしょうか?これにより、ハウスダスト・ダニ「チリ・ダニ」に大量に暴露され、発作的なアレルギー症状(喘息、鼻・目・皮膚症状など)が出てしまう方もおられます。春花粉(スギ・ヒノキ)が終わったからと言って、油断は禁物です。特に、血液検査など、アレルギーの検査をされている方は、ぜひご自身の検査結果をご確認ください。アレルギーの原因物質(アレルゲン)で、もっとも多いのが「チリ・ダニ」で、アレルギー患者さんの8割!と言われております。季節には関係ありませんが、衣替えや引っ越し、大掃除、外泊など、年に何回かは大量に暴露する機会があります。このようなときには、アレルゲンにさらされない工夫(環境整備、除去)やアレルギー剤の服用など早期の治療が望まれます。

 日本で花粉症といえばなんといってもスギ花粉症ですが、実はスギ以外にも多くの樹木の花粉症が知られています。「スギ花粉の時期でもないのに鼻水が止まらない」「スギの木がないのに目がかゆい」・・・そんなときは他の植物の花粉症かもしれません。春は、梅の頃(2-3月)がスギ、桜の頃(4月)がヒノキでしたね。今の時期(GW明け)は、身近な植物の花粉「草本(そうほん)花粉」に気を付けましょう。特にイネ科は5月から8月までがシーズンで、カモガヤ(オーチャードグラス:牧草)、オオアワガエリが代表格です。ヨーロッパでは花粉症といえば、イネ科の花粉のことをいいます。カモガヤはもともと日本にあった植物ではなく、明治初期に牧草として日本に輸入され、北海道で多く生育しました。そして戦後牧草が日本全体に広がると同時に、全国に広がりました。背が低いため、花粉は数10mの範囲にしか広がりません。そのため、花粉に近づかなければ避けることができます。

(花粉症ナビ http://www.kyowa-kirin.co.jp/kahun/about/other.html :草の写真があります)

 スギ花粉症の4割の患者さんが、カモガヤ花粉症を持っているといわれています。また、カモガヤアレルギーの患者さんは、口の周りや口の中や喉の奥がイガイガとかゆくなったり、腫れたりする口腔アレルギー症候群(Oral Allergy Syndrom:OAS)を併発することもあります。イネ科(カモガヤやオオアワガエリ)はトマト、メロン、スイカ、馬鈴薯、オレンジ、セロリ、バナナとの共通抗原があるといわれており、イネ科の花粉症があり、これらの食物を食べた後に口やのどの症状が出たときは、担当医にご相談ください。

 夏草花粉対策も、春花粉(スギ・ヒノキ花粉)同様です。①アレルゲン(花粉)の回避、②室内に持ち込まない、③初期療法(早期の治療)です。

2.  黄砂・PM2.5

  西から「偏西風」が吹く春や秋。偏西風に乗って黄砂が中国から日本へ運ばれてくるため、春や秋はPM2.5の濃度も高くなります。黄砂の影響ですが、動物実験では①花粉症や気管支ぜんそくが起こり始め、症状が悪化するようになり、②鼻の粘膜、気管・気管支粘膜も変化を起こしていることが報告されています。それらは黄砂の成分そのものでも起こりますが、黄砂の粒子にくっついてくる細菌(ばい菌)や真菌(かび)など、有機物の破片がその反応をさらに強くしていることも解明されております。黄砂が日本にやってくる途中で、排気ガスなどからPM2.5がくっついて飛来してくる可能性もあり、黄砂は砂の成分と一緒にいろいろな物質が混じっていることが容易に想定されます。

 環境省は健康を守るための目安として、大気中のPM2.5の濃度について「1年間の平均値が15μg (マイクログラム) /m³以下、かつ1日の平均値が35μg/m³以下」と基準を定めています。都道府県などが外出を自粛するなどの注意喚起を行う目安を「1日平均値が環境基準の2倍である70μg/m³」と設定しています(環境省そらまめ君 http://soramame.taiki.go.jp/ )。鼻から吸い込まれた空気中の微小粒子は10μm以上であれば、気管支や肺に到達することはありませんが、PM2.5は10μm以下のため奥まで侵入しやすく、呼吸器系や循環器系への影響が心配されています。世界保健機関(WHO)でもPM2.5を含む大気汚染物質の発がんリスクを、5段階ある危険度のうち、最上位に分類。さらに、大気汚染が原因の肺がんで2010年には全世界で22万3000人が死亡したとのデータを示すなど、警鐘を鳴らしています。

 岸川先生ら(福岡病院アレルギー科)によると、初めて受診する患者さん約3,000名の調査では、黄砂に関して「影響がある」と回答している人が約20%でした。その中で「花粉症が悪化する」との回答が70%、「ぜんそく発作が起こる」が30%でした。初診時の受診の理由は「せきが出る」が最も多く、その後の診断も気管支ぜんそくが最も多いことが分かっています。PM2.5を含む黄砂によって、鼻・のどの上気道や、眼などに影響を受け、症状を強く感じているとのことです。富山県では、強い黄砂が来た後4~6日して、ぜんそく発作が治らずに入院する割合が増加することが確認され、特に6~12歳の男児が黄砂飛来直後から影響を受けやすいと報告されております。①屋外で運動して遊ぶ可能性が高いため、または②その年代の男児に特徴的な反応ではないかと考えられております。

 症状を軽くするための対策としては、①マスク装着、②外出を控える、③外出後は顔などを洗う、④室内に入れない工夫(洗濯物や外出後の衣服)や空気清浄器の利用、また慢性の病気がある人や乳幼児は母親の管理のもと戸外で長時間過ごすことを避けることなどが予防になります。花粉症の対策とほぼ同じです。患者さんに病気を認識してもらい、治療管理をきちんと行っていくという我々医療機関の役割がとても重要です。黄砂・PM2.5の情報は、いくつかのサイトで公開しております(全国のPM2.5情報・予報サイトhttp://pm25.jp/)。黄砂は、日本には2-5月に年間の90%が飛来します。晴れているにもかかわらず、かすんでいるときには要注意です。今や、春がすみは季節の風物詩ではなく、‘PM2.5に注意するサイン’かもしれませんね。

おまけ☞ 大気汚染より怖いタバコ!?

  PM2.5は化石燃料を大量に燃やすと発生しますが、実は、タバコの煙の中にも非常に多く含まれています。つまり、喫煙者はもちろん、副流煙を吸っている人もPM2.5を知らないうちに体内に吸収しているのです。「禁煙推進学術ネットワーク」が喫煙可能な喫茶店でPM2.5の濃度を調べたところ、平均371μg/m³を観測。また「日本禁煙学会」の調査でも喫煙自由の居酒屋では700μg/m³のPM2.5濃度が観測されました。これらは環境省が定める基準を大きく上回るだけでなく、北京で最も濃度の高い日と同じだそうです。気を付けましょう。

3.  マダニの被害を防ごう

 レジャーに山菜採りと、野外に出る機会が増える季節。楽しい思い出にするためにも、蚊やハチなどの昆虫類、ダニやクモなど昆虫以外の節足動物による虫さされは避けたいものです。特にマダニには注意が必要です。ヒョウヒダニなど室内にいるダニと違い、マダニは動物が通る草むらなどに潜みます。体長1~数ミリですが、動物やヒトの血を吸い1~2センチになるものもいます。マダニを介してうつる病気の一つが、ウイルスが原因の感染症、重症熱性血小板減少症候群(SFTS:Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)です。潜伏期間は6日~2週間。高熱が続き、下痢や嘔吐(おうと)などの症状が出現します。現在、ワクチンや特効薬は無く、治療は対処療法のみです。日本では2013年1月に初めて患者が報告され、現在(H27.4月)までに、全国で110人のSTFS患者が確認されています(国立感染症研究所http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/sa/sfts.html)。重症化し亡くなったかた(32人)もおられます。先日(4/28)、ここ鹿児島県でも70代女性の方が、マダニによるSFTSで亡くなられたとの報告がありました。

 中国の報告では、致命率6-30%といわれております。こう聞くと、とても致死率が高い、怖しい病気のように思われますが、軽症の方には医師は検査をしませんし、病院を受診しない方もたくさんおられることでしょう。つまり、もっと多くの感染者がいながらも、重症者だけが発見されていると考えた方がよさそうです。このSFTSですが、もともとは中国で5-6年前に集団発生し、2011年になって原因のウイルスが特定された感染症です。おそらく昔から発生していたはずですが、病原体が不明だったので診断できていなかったのです。つまり、この病気は決して新しいものではなく、いま急速に拡がっているわけでもありません。実は、ダニは、感染症の宝庫です。日本紅斑熱、ライム病など、SFTS以外にもマダニによって媒介される感染症は知られていました。また、マダニではありませんが、ダニの一種であるツツガムシによって媒介されるツツガムシ病もあり、やはり重症化したり死亡したりすることがあります。

  5月から8月がマダニの活動が盛んになり、5月にSTFSの患者数が増加します。マダニがすべてウイルスを持っているのではないのですが、現在はウイルスを持ったマダニが国内に広く分布している(厚生労働省)として、注意を呼び掛けております(中国の調査では患者が発生している地域のマダニの数%からSTFSウイルスの遺伝子が見つかったそうです)。

 マダニは、長時間(10日間以上!のこともあり)吸血し、咬まれても気づかないこともあります。野外(特に野山)では、服装に注意し、肌の露出を少なくしましょう。咬まれた時は、無理やり除こうとせず、医療機関(皮膚科がベター)を受診しましょう。もし、咬まれたら、週数間程度は体調の変化に注意し、発熱等の症状が認められた場合、医療機関を受診しましょう。

 (マダニ対策、今できること:http://www.nih.go.jp/niid/ja/sfts/2287-ent/3964-madanitaisaku.html

  かみむら耳鼻咽喉科の近くの、川内川河川敷の鯉のぼりです。“川内川に鯉のぼりを上げる会”の方々が、平成14年から続けられています。毎年4月10日から5月10日まで、川内川を泳いでいます。また、クリニックの受付には、季節の飾りを置いてあります。ご覧くださいね。