かみむら耳鼻咽喉科では、鹿児島市・薩摩川内市を中心に耳鼻咽喉科、アレルギー科の日帰り手術に力を入れております。最寄り駅は、JR『鹿児島中央駅』から直通の『川内駅』です。

logo

耳鼻咽喉科・日帰り手術・予約優先
受付時間 午前08:30〜12:00
午後14:30〜18:00

只今「ポールンロボ」での花粉測定やっております!

2月も後半になり、春一番のニュースも聞かれるようになりました。いよいよ本格的なスギ花粉シーズン到来です。

毎年スギ花粉症でつらいおもいをされている方も多いと思いますが、われわれ耳鼻咽喉科医はこのような患者さんの強い味方です。ぜひご相談くださいね。かみむら耳鼻咽喉科の外来にも、毎年2月になると、初期療法のために来院される患者さんが目立ってきます。毎年この時期に当院に来院される方はご存知だと思いますが、院長の「バレンタインのチョコを買いに行く頃には、花粉症の治療に来てくださいね!」 を覚えてくださって来院されるのでは?と信じて、このセリフを診察中、何回も繰り返しております。「今年もまた・・・」とあきれずにお付き合いくださいね。少しでも花粉症のつらさから解放されるように、また「初期療法」を意識してもらいたいがために耳鼻咽喉科専門医としての立場から、患者さんにわかりやすく、しかも印象に残るように工夫しているつもりなのです。

花粉症治療には、花粉が飛び始まる前、もしくは症状の軽いうちから治療をはじめる「初期療法」、症状が強くなってからの「導入療法」、よくなった症状を維持する「維持療法」があります。早めの受診でシーズン中の治療計画を立てておきましょう。特に例年花粉症でつらい思いをされている方は「初期療法」がとても大切です。この「初期療法」により症状が出る時期を遅らせ、花粉シーズン中のつらい症状を軽くし、また、症状の終了を早めることができるのです。

スギ花粉症は、春になり花粉の飛散が始まり、これが体に付着することによっておこるアレルギー反応です。眼・鼻(鼻腔)・のどの粘膜でアレルギー反応が起こり、突然、「くしゃみ・鼻みず・鼻づまり・目のかゆみ」(花粉症の4大症状)が起こります。消化器症状(下痢・腹痛・口やのどのかゆみ)や皮膚症状(かゆみ・湿しん・じんましん)が伴うこともあります。症状が一度起こると、花粉に暴露されるたびにあのつらい症状が起こり、とても厄介です。スギ以外にも、桜の頃にはヒノキ花粉(*北海道では春はシラカバ)、夏にはイネ科花粉(カモガヤ・オオアワガエリ)、秋にはキク科花粉(ブタクサ・ヨモギ)などがあります。木の花粉(春のスギ・ヒノキ花粉)は風媒花といわれ、風に乗って遠距離を飛散します。その飛散距離10数kmから条件がそろえば、なんと300km!も飛ぶといわれており、近所にスギ・ヒノキ林がなくても遠方から飛散し症状がでてしまいます。それにくらべ、夏・秋の草の花粉(草本花粉)は丈が低く、花粉は数10mの範囲にしか広がりません。そのため、その植物が生えている場所に近づかなければ、かなり花粉を避けることができます。

毎年様々な花粉が自然界のルールに従い飛散します。しかしながら花粉飛散の状況は、毎年異なり、多い年もあれば少ない年もあります。日本も東西南北広いですので、地域差はかなりあります。天気予報のように、「今年の花粉飛散予報」と今花粉がどのくらい飛んでいるかを正確に知る「花粉の測定」は、花粉症を治療・コントロールする点においてとても大切な情報です。

「花粉飛散測定」について

花粉飛散の測定法は大きく分類すると2つあります。①自動花粉センサーによる測定法と、日本で標準的な測定方法となっている②ダーラム法という測定法です。標準的な花粉飛散数の測定はダーラム法ですが、環境省では、平成14年度(2002年)から順次、花粉自動計測器を設置し、花粉飛散データを自動的に収集して表示する「環境省花粉観測システム(愛称:はなこさん)」の構築を進めてきました。平成19年度(2007年)には、北海道・東北地域に花粉自動計測器の設置が完了し、スギ花粉の少ない沖縄県を除く全国において、花粉飛散状況を把握できる体制が確立しました。はなこさんからは全国120カ所の花粉飛散状況を把握でききますhttp://kafun.taiki.go.jp/ 。鹿児島県では、鹿児島市、鹿屋市、伊佐市の3カ所で、ここ薩摩川内にはありません。  いまから3年ほど前、かみむら耳鼻咽喉科にメールで「花粉測定をしてみませんか」とのお問い合わせがありました。メールの送り先はNTTドコモグループの気象情報会社ウェザー・サービスからで「環境省の花粉データご提供お願いの件」とのタイトルでした。「ここ薩摩川内の花粉データを知る絶好のチャンス!」と即座に判断し、早速手続きを行いました。早々に測定キット(ダーラム法)が届き、翌日から、かみむら耳鼻咽喉科屋上での測定を開始しました。

測定の前夜、色々と考えた結果、診療に影響のない毎朝7時30分にプレパラート交換と決めました。それから2月から5月まで毎日、もちろん土日曜・休日も、晴れの日も雨の日も風の日も行いました。毎週プレパラートを指定の封筒に入れ郵送し、後日、花粉数の結果のデータがメールで送られてきました。さすがに花粉数のカウントまではやりませんでしたが、この方法だと時間と手間がかかり、当然リアルタイムの花粉情報は得られません。院長一人で行いましたのでさすがに大変で、「毎年は無理だな・・・」「自動測定器があればどれだけ楽かな・・・」などどブツブツとぼやきながら?やっておりました。この時のデータは環境省の「平成28年度花粉症に関する予測検討業務報告書に鹿児島県のデータとして掲載されており、後日たまたま見つけて「当時の苦労が報われた」と自己満足に浸っておりました。https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/attach/h28yosoku.pdf

*参照:ダーラム法は、米国のダーラム(Durham)が1946年に考案したもので、国際的にも標準花粉捕集装置として広く使われています。これはワセリン付きスライドグラスの1平方センチメートルに1日何個の花粉が付くかを測定します。24時間屋外に放置して毎日一定時間に取り換える捕集方法で、今の時代からすればかなりアナログな方法です。

民間でもいくつかの花粉情報サービスがあります。その一つが今回の花粉プロジェクトです。このプロジェクトは、2005年(H17)「花粉研究室」として、花粉自動測定器 “ポールンロボ” がリリース。当時は100台から開始。2007年から「花粉プロジェクト」と名称を変えインターネットでのデータ自動送信が可能になりました。2008年200台。2009年500台、2010年1000台と全国に展開し現在に至っております。これはウェザーニューズ社の提供するサポーター参加型企画の一つで、花粉シーズンとなる2月上旬から5月上旬、全国(沖縄県を除く)1000ヶ所に直径15cmの人間の顔に見立てられてた球体の ポールンロボを設置し、一般の方、医療機関、企業、学校などと協力して花粉対策に取り組むプロジェクトで、地域に密着した花粉観測と症状報告を活かし花粉症の方に役立つ情報をリアルタイム発信している花粉飛散量などを調査・測定する企画です。

毎年11月にポルーンロボの設置者(里親)の募集があります。花粉シーズンの春になるとすでに募集終了で、昨年までは毎回「しまった、時すでに遅し・・・」とチャンスを逃しておりました。しかしながら今回は、熱い想い!?を胸に、11月に院長室のパソコンからこれに募集、めでたく当選したのであります。2月8日金曜日、待ちに待ったポールンロボの白い箱がウェザーニューズ社(千葉県)から、かみむら耳鼻咽喉科に届けられました。軽い箱でしたのでやや不安でしたが、恐る恐る箱を開けてみると、ネットで見たことのある白いポールンロボがそこに入っておりました(やはり軽い!)。9日午前診察終了後、ホームセンターで必要備品(延長コート、防水用コネクターカバー等)を揃え、早速2階屋上に設置しポルーンロボの眼が白く光るのを確認。院長室のパソコンやスマホでポルーンロボからのデータが送られているのを確かめ、この日から薩摩川内(かみむら耳鼻咽喉科付近)の花粉飛散測定が開始されました。

*かみむら耳鼻咽喉科(薩摩川内)を含め、全国1000か所の花粉飛散状況をリアルタイムに確認できます。ぜひご覧くださいね。

参照:https://weathernews.jp/s/pollen/

なお、ポールンロボはシーズンごとに改良を重ねており、初代から15年目の2019年(H31)シーズンに使用されるものは「ポールンロボ7代目」、”Wi-Fi要らず“の最新型で電源を差し込むだけで動き出します。なお、今回かみむら耳鼻咽喉科では2階屋上に設置したので、患者さんにお見せすることは出来ませんが、ロボの目の色が花粉の量によって5段階(白・青・黄・赤・紫)に変化し、その時の花粉の飛散量をお知らせできるようになっております。よくできてますね!

「かみむら耳鼻咽喉科2階屋上のポールンロボ」と呼ぶのは、いささか長く愛嬌もないので、2月から3月中旬のスギの時期は「すぎぞう」3月中旬から5月初旬のヒノキの時期は「ヒノッキーと命名(院長の独断!?)いたしました。

 

以下はスギ花粉についての付録です。お時間ある方は是非どうぞ。

1.花粉症の歴史                                                                                           

花粉はいつ頃から人間を苦しめているのでしょうか?花粉症の歴史について少し調べてみました。近代医学的な記録で最古のものは、16世紀のイタリアの医師Botallusによるものとされております。これによれば、その患者はバラの花の香りをかぐとくしゃみやかゆみ、頭痛などの症状が起こり「バラ熱(Rose fever)」と呼ばれていたようです。通常バラは花粉を飛散させないため花粉症であるとは言い難いのですが、現在でも Rose fever は「晩春から初夏の鼻炎」の意味で用いられることがあります。

花粉症であることが確かな最初の臨床データは、1819年イギリスの Bostock が、春・秋の鼻症状、喘息、流涙などの症状が、牧草の干し草と接触することで発症すると考えられ、 Hay fever (枯草または干し草熱)と呼ばれる夏かぜ様の症状について報告しました。彼自身も長年にわたってこの症状に苦しめられたようですが、当時、有効な治療法は発見できなかったようです。また1872年には北米でブタクサが Hay fever の原因であるという報告がなされました。 その後、19世紀後半イギリスの Blackley によって、Hay fever は気温の変化あるいは花粉が発する刺激性のにおいや毒素などが原因とする仮説が実験的に否定され、彼は空中花粉の測定、鼻誘発試験や皮膚試験など、現在でも通用する試験を行ってイネ科花粉症を実証しました。これにより Hay fever は Pollinosis(花粉症)と呼ばれるようになったのです(pollen は花粉のこと)。彼は自らも花粉症だったそうで、彼の功績をたたえ「花粉症の父」と呼ばれるようになりました。しかし、当時はアレルギーという概念がなく、この段階では花粉に過敏に反応する人とそうでない人がいるということしか分からなかったようです。花粉症がアレルギーによる反応であるという考えが成立するには20世紀になるまで待たなければなりませんでした。

*アレルギー研究で大きな功績を残した先人の一人が日本人の石坂公也博士です(昨年2018年7月6日、92歳で逝去)。石坂博士は1962年妻の照子さんは渡米、アレルギーは未知の抗体によるものではないかと考えて、基礎研究を続けられ、1966年に体内の免疫システムを担っている免疫グロブリン(IgE)がアレルギー反応の主体であることを発見し、アレルギー疾患の治療を大きく進歩させるきっかけとなりました。その後の研究で、血液検査でIgEの量を調べる方法が確立しました。今や臨床現場では花粉、食物、カビ、ペットなど200種類以上の原因物質(アレルゲン)を容易に特定することができ、診断の手助けになっています。もちろん、かみむら耳鼻咽喉科でも検査を行っており、採取した血液を検査室に提出し、3-4日後には検査結果が手元に届くようになっております。石坂先生の研究に感謝です。

日本で花粉症といえば春のスギ花粉症ですが、実は昔から世間に認識されていたわけではなく、まだ半世紀程度の歴史しかありません。1963年(第1回目の東京オリンピックの前年!)東京医科歯科大、斎藤洋三先生らの研究グループが過去の記録を調べ、春先に鼻や目にアレルギー症状を呈する患者を多く診察したのが、いわゆる花粉症に気付くきっかけとなったようです(堀口申作,斎藤洋三:栃木県日光地方におけるスギ花粉症 Japanese Cedar Pollinosis の発見.アレルギー 13: 16-18, 1964. )。当時はまだめずらしい病気で、今や“3人に1人あるいは4割程度が花粉症” といわれる国民病となっている現在を、当時だれが予想できたでしょうか? 1970年代中頃からスギ花粉症の患者が急増。特に関東地方で1976年に初めてのスギ花粉の大飛散がありました。その後1979年、1982年にもスギ花粉の大量飛散があり、それに伴いスギ花粉症の患者さんが増加していきました。当時まだ全国的ではなかったのですが、スギ花粉の飛散するこの時期に社会問題として認知され始め、その後マスコミ等で「花粉症」という言葉が用いられるようになったのです。

 

2.スギ花粉について

日本で1960年頃からスギ花粉症が急増した原因としては、農林水産省が推奨してきた大規模スギ植林が主に挙げられています。戦後復興や都市開発などで日本では第二次世界大戦以後木材の需要が急速に高まり、一方で国内木材の供給量は不足気味で、林業の拡大と造林は 当時の日本において急務でした。このため農水省は戦後に拡大造林政策を行い、その一環として各地にスギやヒノキなどの成長率が高く建材としての価値が高い樹木の植林や代替植樹を大規模に行いましたが、その一方でスギ花粉の飛散量も爆発的に増加することになり、大量のスギ花粉を曝露した日本人がスギの花粉症を発症することにもつながったようです。また高度経済成長を経て日本では林業が衰退し、木材も外国からの質が良くて安い輸入品に押されて国内スギの需要が低迷するようになったため、大量に植えたスギの伐採や間伐なども停滞傾向となり、花粉症原因物質であるスギの個体数が増加していることも花粉症患者の増加傾向の要因となっております。

スギは風によって花粉を運ぶ植物であり、風媒花といわれます。このため、風に乗って遠くまで花粉が運ばれます。直径およそ30μm(0.03mm)。肉眼では見えないほどの小さな粒で丸い形に小さな突起をもつのが特徴です。2月から3月にかけて、スギは雄花(おばな)と雌花(めばな)を咲かせます。枝の先にぎっしりとついているのが雄花です。雄花の大きさはマッチ棒の先ほど。この中に、およそ40万個の花粉が入っています。雄花の上のほうでうつむくように咲いているのが、雌花です。よく晴れた風の強い日。雄花から花粉が飛び出し、あたり一面に舞い広がります。スギは、風に花粉を運んでもらう風媒花(ふうばいか)です。そのため、小さくて軽い花粉を大量に飛ばすのです。スギが花粉を飛ばし始める年齢、または花粉を飛ばさなくなる年齢については、まだ未解明で不明な部分も多いですが、植えてから10数年たつと雄花ができはじめ、本格的に花粉が生産されるのは、早くて25年、通常は30年程度と言われています。現在、わが国の森林面積の約18%に当たるおよそ448万ヘクタールがスギの人工林であり、その多くが、植えられてから30年以上となっています。これに伴い、スギ花粉の生産量も増加してきております。この結果、花粉症の患者数も増加の一途をたどってきております。

スギ花粉を放出する雄花は、7月頃から形成され始め、11月頃には雄花の中の花粉が成熟します。その後、気温の低下や昼の時間が短くなることにより雄花は休眠状態に入りますが、冬の寒さに一定期間さらされることで覚醒し、花粉の飛散に向けた準備を始めます。花粉の飛散開始時期は、覚醒した後に暖かい日が続くと早まり、寒い日が続くと遅くなります。 環境省では、林野庁と協力して、スギ花粉の飛散予測のための参考情報として、平成16年度(2004年)から毎年、スギ雄花の花芽調査を行い着花量(花粉生産量)を発表しています。平成30年度(2018年)は、九州地方ではここ鹿児島県は行われておらず、福岡県・大分県の2県で行われました。

(参照:環境省 https://www.env.go.jp/press/106308.html

3.花粉飛散予測

日本気象協会が1987年(S62) 3月9日、日本で最初のスギ花粉情報を開始しました。これは1985年(S60) から行われていた東京都衛生局の予測等をもとに、東京都心と多摩地域向けにスギ飛散予報を出したのが始まりです。最近は、前年の秋10月にスギ花粉予報第1報が発表され、12月に第2報、1月に第3報、2月中旬に第4報と、合計4回の発表が行われております。スギのつぼみの様子などから翌年春のスギ花粉飛散量の予測が出され、同時に平年に比較して飛散量が多いか少ないかの予測も出されます。晩秋に発表するのはスギの着花量が主に夏の天候に左右されるためで、もちろんスギ花粉予測も秋冬の天候如何では天気の長期予報と同様に外れる場合もあるようです。「平年」とは過去10年平均であり、2000年(H12) 以降はその平均値そのものが増加し続けているため、予測値の解釈には注意が必要になってきました。毎回、前年度と平年との比較が出されますので、この数値の違いをご覧ください。

(参照:日本気象協会 https://tenki.jp/pollen/