かみむら耳鼻咽喉科では、鹿児島市・薩摩川内市を中心に耳鼻咽喉科、アレルギー科の日帰り手術に力を入れております。最寄り駅は、JR『鹿児島中央駅』から直通の『川内駅』です。

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専門医講習会に参加しました

 日本耳鼻咽喉科学会 第26回専門医講習会(福岡:ヒルトン福岡シーホーク;11月17-18日)に参加してきました。今回は九州ブロック担当で、久留米大学耳鼻咽喉科が事務局となり運営されました。関係者の方々、ご苦労様でした。今日の医療の進歩は目覚ましく、深い知識と高度な技術が要求されるため日本耳鼻咽喉科学会では「専門医制度」を整備し、質の高い医療を全国どこでも同じように受けられるように専門医を養成および更新の制度を管理・維持しています。専門医講習会は日耳鼻会員の医療の質を担保するために必要な学術集会で、専門医は、日常の研鑽に加えて専門医講習会で新たな知識や技量を獲得し、その力量を維持し更新することを義務づけられております。我々耳鼻咽喉科医にとっては、春の日耳鼻総会・学術講演会と秋の専門医講習会はもっとも大切な集会の一つです。耳鼻咽喉科専門医になるために、医師免許取得後2年間の臨床研修、その後4年間の専門医研修を経て、耳鼻咽喉科専門医試験を合格して、ようやく取得できます(最短でも6年かかります)。専門医認定後は、5年ごとの更新が必要で、年間50単位以上の研修(5年間で250単位以上)が必要です。今回参加した専門医講習会は参加単位が40単位と大きいため、多くの耳鼻科医が全国から集まりました。今回は福岡での開催でしたので、ここ薩摩川内からは、九州新幹線の恩恵により「70分で、もうそこは博多!」と楽な移動でした。

 今回の最大の目的は、初日の実技講習「外来手術・処置シリーズ(耳)」を受講することでした。講師は山形大の欠畑誠治(かけはたせいじ)教授で、日本における内視鏡下耳科手術(EES)のパイオニアです。欠畑先生は、前任の弘前大時代からEESを積極的に行われており、10年前に先生の学会報告を拝聴して、大学病院で耳の手術がようやくわかりかけてきた当時30代半ばの小生は衝撃を受けました。ここ10数年来、あらゆる外科手術に内視鏡が導入されてきました。耳鼻科領域では、鼻手術は内視鏡手術がスタンダードになり、次は耳手術と個人的には思っております。内視鏡により、小さな切開(低侵襲)で済みますし、顕微鏡では見え難いところも、十分観察ができます。来春、山形大で内視鏡耳手術のハンズオンセミナーが開催されるようですので、ぜひ参加してマスターしたい技術です。

   先日、本棚の整理をしていたら、2001年出版の「耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の新しい器械、器具」というタイトルの医学書が出てきました。当時最先端の道具が、2012年の現在、私のクリニックにも置いてある普通の道具になっています。以下、序文からの抜粋です。「近年のtechnologyの進歩で、ひと昔前には、空想の世界でしか存在しなかったものが、今はそれが次々と現実のものとなってきている。どんなに新しい医療器具が出現しても、これらは患者さんに使用され、治療や監査に役立って初めて意味を持つことになる。同時にこれらを用いるのは医師であり、その医師の判断や決定が適切でなければ器械はただの器械でしかないことを再確認したい・・・」。医療機器や医療工学をはじめ、あらゆる医学分野での進歩は目を見張るものがあり、この急速な進歩に、時として追いつけない。当然貪欲に、知識・技術を習得しなければなりません。しかし、医療は、古き時代から患者さんを相手に行われる行為で、机上の学問ではなく、そこには必ず相手を思いやる心が必要です。いくら最先端技術といったところで、この世の中には難治な病をもつ患者さんは数多く存在します。最先端の知識を学んだ後に、耳鼻咽喉科臨床医(かかりつけ医)として何が大切かを再考させられました。

追伸:全国規模の学術集会では、普段は会えない友人・先輩・後輩と再会があります。これも(これが!?)楽しみの一つです。

今回は、愛知医大時代の後輩と博多の夜を堪能しました。