かみむら耳鼻咽喉科では、鹿児島市・薩摩川内市を中心に耳鼻咽喉科、アレルギー科の日帰り手術に力を入れております。最寄り駅は、JR『鹿児島中央駅』から直通の『川内駅』です。

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それって、風邪? それともインフルエンザ?

  1月も半ばを過ぎ、いよいよ受験シーズン真っ最中ですね。センター試験(1/18-19)が終わり、ホッとしている受験生も多いのでは・・・。例年、この季節は、インフルエンザの流行時期 http://www.nih.go.jp/niid/ja/flu-map.html でもあり、受験生や、小さなお子様、ご年配の方、またそのご家族にとって、体調管理に気が抜けないと思います。せき・鼻みず・のどの痛みなどの風邪症状で、なかなか体がすっきりしない方も多いのではないでしょうか?さて、カゼ症状で、医療機関を受診され、担当の先生に「それは風邪ですよ」といわれるのと「インフルエンザですよ」といわれるのでは、どちらが心配でしょうか?もちろんインフルエンザは、症状が重症で、悪化すれば怖い病気ですよね。しかし、迅速キットによる検査法やお薬もあります。また、学校保健安全法では、インフルエンザにかかれば、「発症後5日間を経過し、かつ解熱後2日間は出席停止」というルールがあり、十分に療養することができます。また、予防にはワクチンが確立しています。このように、インフルエンザに対しては、社会的にも手厚く対処されております。また、日本は世界中でインフルエンザ予防や治療に関して、最も進んだ医療先進国なのです。これは世界に誇れることです。では、風邪はどうでしょう?風邪の場合、インフルエンザの時みたいに、学校や仕事を休めますか?おそらくほとんどの方は、無理してでも、学校や仕事に行かれるのではないでしょうか?風邪とはせき・はなみず・のどの痛みなどの局所症状、および発熱・倦怠感などの全身症状が出現した状態のことです。9割がウイルスによる上気道(鼻からのどまで)の炎症性の病気で、通常、高熱を伴うことは少なく、数日で改善し、1週間以内に自然治癒します。風邪は、小児では1年に6-10回、成人では2-4回かかるといわれています。ちなみに、ウイルス性胃腸炎はおなかのカゼ(腸感冒という地域もあり)といわれ、いわゆる風邪とは別のグループです。最近、浜松の学校給食で起こったのがこのウイルス(ノロウイルス)による感染です。

   風邪の病原ウイルスは、数多くあります。(冬に流行するRS、コロナ、春・秋の季節の変わり目に流行するライノ、アデノ、パラインフルエンザ、夏に流行するコクサッキー、エコー、そして有名なインフルエンザなど)、実は、これがなかなか厄介で、外来診療の中で、病原ウイルスを特定する方法論が、必ずしも確定していないのです。「患者さんにとっては、かぜは治る病気ですが、医者にとっては治せない病気」とも言われており、はじめのクリニックでは、お薬をのんでもよくならず、2-3日後、ほかのクリニックを受診したら治ったということがおこり得る(実はこれは自然治癒だった可能性もあり?!)医者泣かせの病気なのです。実は、風邪を治す特効薬はないのです。テレビでは数多くの風邪薬のコマーシャルが流され、くすり屋さんに行くと、たくさんの風邪薬があり、どれを選ぶか迷いますよね。風邪薬は、風邪を治す薬ではなく、風邪の症状を緩和する薬なのです。つまり、発熱や痛みを和らげる消炎鎮痛剤であったり、鼻汁を軽減するか抗ヒスタミン剤であったりします。このため、風邪薬を発見したら、ノーベル賞もの!なんて今でもいわれ続けております。

   ここで、もう一度考えてみてください。インフルエンザでは、お薬もあり、休養も十分取れますよね。風邪はどうですか?子供から大人まで、毎日が忙しく、そう簡単に休めませんよね。風邪薬をのんで、少し体調が良くなれば、翌日から普通の生活をしていませんか?お子さんならば、サッカー・水泳・野球などスポーツや塾・習い事を普段通りやらせていませんか?実は、これで、風邪をこじらせてしまうことがよくあります。風邪をひいたときの、熱や鼻水は、実際は体の免疫が働いている、外敵に対する防御反応なのです。これは決して悪いことではありません。熱により、病原の活性化を抑え、鼻水やたんで病原を体の外に出しているのです。この防御反応を薬で無理やり抑え込むと、かえって症状を長引かせ、悪化させてしまうこともあり、注意が必要です。もちろん、安静にして、体力を温存することは、体の免疫にとっては必須です。お子様が、風邪症状で、小児科や内科のクリニックを受診され、担当の先生から「軽いので、お薬なしで安静で様子をみましょう」といわれるのは、このような理由があるからです。お薬を出さないからといって、決して悪い先生ではありませんよ。耳鼻科では、鼻を吸うなどの、局所処置をして、症状をやわらげる治療を必ず行います。

  風邪をこじらせてしまえば、症状はより重症化しますよね。体の免疫力が低下しておりますので、ここから細菌(ばい菌)の感染が起こってしまうこともあります。細菌感染は、原則として「単一の臓器に1種類の菌の感染がおこる」といわれております。例えば、耳では中耳炎、鼻では副鼻腔炎(ちくのう)、のどでは扁桃炎、肺では肺炎といった具合です。ここで治療に使うのが、抗生剤です。つまり抗生剤は、風邪の万能薬ではなく、細菌(ばい菌)の感染に効くお薬なのです。耳鼻科領域では、のどの痛みが悪化し、killer sore throat(死の危険性のあるのどの痛み)を見逃すな!といわれております。急性喉頭蓋炎、扁桃周囲膿瘍、咽後膿瘍がこれに該当します。私のクリニックでも、毎年数十名の患者さんが、この病気で受診され、そのうち何人かは、総合病院へ緊急入院されます。命に係わることもあり、重症です。大半の方が、風邪をひいてこじらせ、内科に行って薬をもらったが、さらに悪化したという方です。当然、仕事は休めず、無理をされた方がほとんどです。風邪の初期に無理しなければ、ここまでならなかったのでしょうがね・・・。

  では、風邪やインフルエンザにかからないためには、どうすればよいのでしょうか?もちろん予防対策です。インフルエンザの場合、秋冬にワクチン打たれた方も多いのではないでしょうか?さて、今の時期は、例年インフルエンザ流行期ですので、学校や職場では、様々な、風邪・インフルエンザ予防対策がなされているのではないでしょうか?

  ここで、一般的に行われている、手洗い・マスク・うがいについて、医学的データをご紹介します。手洗い・マスク・うがいで。どれに一番予防効果があるのでしょうか?

手洗い:石鹸での手洗い、流水での手洗いは、手についたウイルスを洗い流せます。手洗いは、インフルエンザを含め、あらゆる感染症の感染予防に、推奨されております。簡単にできる確実な予防法です。じつは、この手洗いが一番効果的なのです。

うがいの効果は?:口やのどの粘膜にウイルスが付着したから細胞内へ侵入するまでは20分くらいしかかからないので、実際20分ごとにうがいをすることは不可能です。最近のうがいの予防効果についての検討では、医学的根拠なしともいわれております。ただし、水うがいだけでも、風邪の罹患率を40%減らせたという報告もあり、日本古来のうがいもまんざらではなさそうです。なお、消毒薬やお茶うがいもよくされておりますが、実は水うがいで十分です。

マスク:ウイルスは、マスクを簡単に通りぬけることができ、医学的にはマスクによる風邪予防効果は証明されておりません。ただし、飛沫感染予防(咳エチケット)、鼻・のどの乾燥予防になり、有用性はあります。

  インフルエンザにかかっても、症状がほとんど出ない(不顕性感染)や、普通の軽い風邪程度で済んでしまう方が、40-70%もあるとのことです。ただし、感染しておりますので、他の人にうつしてしまう可能性も十分あり、こういう方が感染を広げる可能性があります。また、症状がひどい場合、やはり早めの治療をお勧めします。インフルエンザのお薬は、発症後48時間以内の服用で効果が期待できます。逆に時間が経ちすぎておれば、これらの薬での有効性は証明されておりませんので、対処療法が選択されます。内服:シンメトレル(1998;インフルAのみ、もともとはパーキンソン病の薬、現在は耐性が多くほとんど使用されなくなった)、タミフル(2001)、吸入:リレンザ(2000)、イナビル(2010)、注射:ラピアクタ(2010)の5つが現在認可されております。インフルエンザウイルスも最近、タミフル耐性(お薬が効かない)株も出現しており、これも注意です。迅速検査では、耐性株かどうかの診断はできませんので、薬の種類については、担当の先生にご相談ください。薬を服用してからの解熱時間は、A型:24-28時間、B型:36-40時間で、薬の種類での大きな差はないとの報告です。なお、症状が軽い場合は、必ずしも、これらの抗ウイルス薬は必要ありません。10数年前までは、流行性感冒(流感)とよく言っておりました。当時は、迅速検査キットやお薬もない時代でしたが、大半の方が、重症化せずに回復されておりました。2009年新型インフルエンザが出現したときから、マスコミが大騒ぎしすぎたのもインフルエンザに対し、やや過敏になり過ぎているのかもしれません。そうとはいえ、高熱が続くのはとてもきついものです。そこで、解熱剤を使う場合もあるかと思います。実はインフルエンザに対する解熱剤の使い方は、とても注意が必要です。2001年に、風邪でよく使っていた解熱消炎剤のポンタール(メナム酸)やボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)が、これらの薬を服用した、特に小児でのインフルエンザ脳炎を多く引き起こしていたという事実が、調査でわかりました。そこで2003年より、インフルエンザの解熱には、カロナールやアンヒバ坐薬(アセトアミノフェン)が適切との文書がだされており、現在もこれに準じております。解熱剤を使用する場合、十分な注意が必要です。

  今も昔も「風邪は万病の元」です。ここ10年、インフルエンザについては、迅速検査キットや、お薬(抗インフルエンザ薬)の普及により、かなり、重症化が防げてきております。しかし、風邪が重症化して、とんでもない目にあわれることもあります。風邪をひいたら無理をせず、安静・保温・保湿を保ち、調子が思わしくない場合は、休養し治療に専念しましょう。悪化させないことが一番大切ですね。

    *内容の一部は、フレンズFM762http://www.friendsfm.co.jp/「空・とぶ・TAMAGO」11:30~13:30(吉田玲子さん担当)1/21(火)放送予定・事前録音済:で、お話しました。

(付録)本日、久しぶりに朝から時間があり、ポカポカ陽気でしたので、近くの薩摩川内市総合運動公園に、読売ジャイアンツの杉内選手の自主トレ見学にいってきました。ここの施設は、日本オリンピック委員会バレーボール競技強化センターにも指定されており、一流選手が利用できる設備の整った施設です。もちろん普段は地元の人たちが利用されております。杉内選手は、ホークス時代から、毎年、わが町薩摩川内市で自主トレを行っています。プロアスリートにとって、シーズン前のこの時期が本当に大切ですよね。なお、薩摩川内市は、日ハムの木佐貫選手の出身地なのです。木佐貫選手は、昨冬、薩摩川内スポーツ親善大使http://satsumasendai.gr.jp/に任命されました。また、中学校から高校まで、彼がトレーニングをしていたという永利(ながとし)町の道には、「木佐貫ロード」と名付けられております。

  この2人は同世代で、高校3年生の1998年、杉内(鹿児島実業高校:鹿実、福岡県出身)と木佐貫(地元の県立川内高校:川高)は、注目のライバルとして対戦しております。春の鹿児島県大会決勝で、木佐貫の川高が、杉内の鹿実を破り優勝。しかし夏の大会では、決勝で鹿実が3-1で勝利、甲子園に出場。この時、杉内は甲子園1回戦で、ノーヒットノーランを達成!(2回戦ではあの松坂大輔の横浜高に敗)。その後、木佐貫は、亜細亜大-巨人-オリックス-日ハム、杉内は、三菱重工長崎-ダイエー(現:ソフトバンク)ホークス-巨人。昨年、夏、交流戦で、日ハムvs巨人で、2人が投げ合い、この時は木佐貫が、高校で、投げ勝って以来15年ぶりに投げ勝ったのです。まさにドラマですよね。今シーズンの2人に注目です。頑張れ、杉内選手! 木佐貫選手!